【完】甘いカラダ苦いココロ

「君が誰かを想ってることは知ってる。その想いをもったままでも、僕は構わない」
 
 忙しい合間を縫って、いつも時間を作って私に会いに来てくれる。こんな私をゆったりとした優しさで包んでくれる。

 その山内さんが……。

 出張の準備を最終確認しながら手が止まる。まだほんの数日前の出来事に私のココロは激しく揺さぶられていた。
 

「急に、ゴメン。今日会えないかな?」

 山内さんから連絡があったその夜は特に予定はなかった。遅番だったけど、明日も遅番だから出勤はゆっくり。

「夜遅くてもいいですか?」

「うん、待ってるよ」

 こんな急なのは初めて。
 なんだろう?
 終わってすぐに約束のお店に向かった。
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