【完】甘いカラダ苦いココロ

 目の前に差し出された手の意味がわからず、しばらく見つめてると

「ほら、行こ」

 その大きな手が半ば強引に私の手を包み込んだ。そのまま前を向いて大股で一歩を踏み出す。手を繋ぐことも、その繋ぎ方にも驚いた。まるで恋人同士のように、絡まる指。何で? 今日もう数えきれないくらいの『何で?』が浮かぶ。外で二人で手を繋いで歩いくのは初めてで、気のせいか、彼の手も季節のせいだけじゃない、汗をかいてるみたいだったから。


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