【完】甘いカラダ苦いココロ

――あ……。

 背中を向けて歩き去っていく翔梧の姿。

 え。待って!

『どうした?』

「いえ、あのっ。ごめんなさい。また後でかけ直します!」 

 あっという間に遠ざかっていく翔梧の背中を追う。

「待って! 翔梧っ」

 私の呼び声に反応して、翔梧の足が止まる。二人の距離は2〜3メートルまだ背中を向けたままの翔梧のカラダ中から
やるせない憤りを放出してるようなあの、一種異様な空気を感じた。

 この空気を、私はしっている。
< 163 / 231 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop