【完】甘いカラダ苦いココロ
もしかして――。
「消したの?」
思わず強い責め口調になる。
――ひどい!
「あ……うん。――ごめん」
私の表情を見て、気まずそうに呟く。長い睫毛を伏せて、苦々しげな顔をした。それ以上責める気にならなかったのは、私よりもなぜだか翔梧の方が傷ついた顔をしていたから。
「――うん。わかった……ちょっと待って……あっ」
ピー!
携帯を取ろうとすると同時にお湯が沸いた。
「――っあち!」
慌ててやかんの倒れた取っ手を掴んでしまう。熱湯が少しこぼれて腕にかかる。熱さの次にすぐ鋭い痛みが走った。
「沙耶っ!」
翔梧が飛んできて、すぐ私の手を掴んで水道の流水で冷やす。火傷にひんやりして気持ちいい――。
「カラダは!?」
そう言って逆の手で服に触れる。
「あ、大丈夫、だから」
その行動の一つ一つに
過剰に早鐘を打つ心臓、
過敏に反応するカラダ。