【完】甘いカラダ苦いココロ

 いつも通り簡単に身支度して、すぐにでも出勤できるように準備する。私はここに仕事しに来たのだ。甘い時間で弛んだ気持ちに少し鞭を入れる。

「沙耶は何もしなくても可愛いのに」

 後ろから抱き締められてまた甘く溶けそうになったけど……。昨日から、ずっと翔梧は私を甘やかし過ぎ。私の体温は上がりっぱなしで心拍数を表にしたらきっと大きく波打ってる。

 油蝉の声が街中に響く、盛夏。太陽はまだ本領を発揮してないけど、外は乾いた焼けつくような日差しだった。高めのUVでも日焼けしそう。外に出るとクーラーに慣れたカラダが一気に汗ばむ。そんな暑さにも構わず、翔梧は当たり前のように私の手を取って、指を絡めた。

 恋人繋ぎ。汗ばんだ指先から私の気持ちが流れていくようで、少し照れ臭い。


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