【完】甘いカラダ苦いココロ
「沙耶」
「ん?」
見つめ合う甘く潤んだ熱い瞳。テーブル越しに絡められる指先。彼が発する恋のオーラに私の中まで熱い。周りの視線も気にせずに翔梧の顔が近づく。
軽く唇が触れ合って彼が呟いた。
「ごめん。我慢できない……」
上目遣いで困ったように口の端を上げる。
「……え」
「このままここで続ける? それとも、部屋に戻る?」
意地悪な囁きに耳まで熱くなる。朝食はもう食べ終わっていた。
「……部屋に」
二人笑い合って、行きよりずっと早足でマンションに帰った。
クーラーで適度に冷えた部屋で気だるく甘いカラダに絡まる極上の毛布。無意識に貪欲に彼を求める。もっと知りたい。もっと、翔梧のこと。通じ合った気持ち。夏の約束。それだけじゃ足りなくて、彼を見上げると目が合って、翔梧も私を見つめてたことを知る。
――同じこと、考えてる?
限られた時間が刻々と刻まれて行く。二週間。私はここを離れられない。その事実が余計に今を切なくさせた。
「あの……」
「沙耶」
口を開いたのは二人ほぼ同時だった。