【完】甘いカラダ苦いココロ

「……志村、沙耶さんはいますか?」

 店に入ってすぐ目についた店員に尋ねた。クーラーの効きすぎた店内。汗で張り付いたシャツが冷たくて、まだ制服だったことにその時気づく。

「え、あの? どういったご用件でしょうか?」

 汗だくの息を切らした高校生に突然声をかけられれば、そりゃ戸惑うだろう。

「あー、えっと……」

 うまく説明出来ずない自分に苛立った。すると後ろにいたショートカットの店員が答えてくれる。

「志村は出張に出てまして、当分店には出勤しませんが?」

 出張!? 

「当分って、どのくらいですか?」

 動揺を抑えながら聞き返す。

「二週間程ですが」

 二週間も……!?


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