【完】甘いカラダ苦いココロ

 だから、『ヤマウチ』という男から連絡がきた時。沙耶の『いい人』に違いないと思った。自分のなんの根拠もない自信が、音を立てて崩れたんだ。

 明らかに沙耶より年上でちゃんとした『大人』の男なんだろう。会ったことはなくても、沙耶を幸せにする要素を全て持ってる気がした。

 今の俺には逆立ちしても手に入らない。
 年齢やキャリア。大人な包容力。

 そんな彼氏がいたら俺の出番なんてないんじゃないか……? そう思ったら、居たたまれなくなった。俺が色んな女とヤってる間、沙耶が何をしていても文句は言えない。俺は沙耶を一方的に傷つけて現実逃避してたんだから。

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