【完】甘いカラダ苦いココロ
スーツをお洒落に着こなし、雰囲気も、笑顔も、営業ならではの柔らかさでこちらの警戒心を解いてしまう。
「急に、ごめんなさい」
私はうまく笑えてるかな。外の暑さが嘘のような店内。いつもの食事ではなくて私からお茶に誘った。山内さんの会社からも程近い落ち着いた雰囲気のカフェ。
「二週間ぶり。何か、改まって誘われると緊張するね」
何もかもを見透かすあの瞳。
「もしかして、あんまり……いい話じゃ、ない?」
心臓が鈍い痛みを感じて動きを早める。彼にはいつも嘘がつけなくて上手く誤魔化せない。