【完】甘いカラダ苦いココロ

「え……覚えてるんですか?」

 横をすれ違ったとはいえもう一ヶ月も前。一瞬だったし。夜だったのに。

「記憶力には自信があるんだよね。それに、彼かなり目立ってたからね。印象に残ってる」

 言われて納得した。あの夜、翔梧はモデルと並んで、確かに目立ってた。
 
「すごく綺麗な顔で、カッコいい子だったな」

「そう……ですね」

 なんて答えたらいいかわからず曖昧に相づちを打つ。

「好きな人がいるのは前提で告白したわけだから。覚悟はしてたけど……」

 ゆっくり瞬きして、また私を捉える。


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