【完】甘いカラダ苦いココロ
「年下、かな?」
「――すごく下です」
「年がどうこう言うつもりはないけど……あの時に一緒にいた女の子とも友達っていう感じじゃなかったよね」
真っ直ぐに見つめる、山内さんの曇りのない瞳に言葉を失う。
「彼は、沙耶ちゃん。キミを必ず幸せにしてくれるのかな?」
その瞳は本当に私を想い、心配してくれていた。私の幸せを本気で願ってくれる人。だからこそ、本音で返すと決めてきた。私が言えることは一つだけ。
「それは、わからない……けど」
涙に濡れたテーブルの下の手を固く握って、山内さんと見て答える。
「彼を好きだと言う気持ちが、私を幸せにするんです」