【完】甘いカラダ苦いココロ
――え?なんで?
だから本当に驚いた。
午後三時。休憩に入って遅めのランチを食べてから何気なく携帯を確認する。
珍しく着信もメールもマークが点滅していた。その画面上には『河野(カワノ) 翔梧』と記されている。
〈10:32 件名:おはよ
本文:てかなんで勝手に帰るの?しかもホテル代払ってあるし…。連絡ちょうだい。〉
〈11:48 件名:無し
本文:電話したんだけど。もしかして、なんか怒ってる?〉
〈14:11 件名:無し
本文:今何してる?留守電にも入れたけど。連絡まってます。〉
――留守電?
携帯にそんな機能があることすら忘れていた。すぐにセンターに繋げる。
ピッ。機械音の後に聞こえる声に胸が震える。
『あ、俺。翔梧、です。……また会いたい。連絡、まってる』
ピー。