【完】甘いカラダ苦いココロ

 ガスコンロを集中して磨きながら、無意識に昨夜のことを思い返していると、聞き慣れたメロディーに現実に引き戻される。時計を見るともうお昼だ。

「お姉ちゃん? 今大丈夫?」

 突然の電話の相手は妹の実貴。

「今日は休みだから大丈夫だよ。いい天気だったから、掃除してたの」

――そう。
 答える妹の声はどこか上の空。何か言いたい事があるときはいつもそうだ。

「何? 何か話があるんでしょ?」
 姉らしく促すと

「お姉ちゃんこそ、私に話があるんじゃない?」 
 と返された。

「……話?」

「お姉ちゃん彼氏出来た?」

 真っ直ぐな直球。今一番困る質問に黙っていると。

「相手ってショウゴって本当?」

「……何で?」 
 
 不意の質問に胸がざわつく。


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