【完】甘いカラダ苦いココロ

 翔梧のカラダには無駄なものが何一つ付いていない。贅肉も筋肉も有るべきところに必要なだけ。痩せ過ぎても鍛え過ぎてもないように見える。よく見るとウエストも胸板も腹筋も腕やふくらはぎも、しっかり引き締まっていて私を抱く広い肩も背中も鍛えられたように力強い。長身にバランスの取れた筋肉。なんのスポーツでもこなせそうだ。

「翔梧って何か運動してるの?」

 前にそう聞いたことがある。

「小・中と野球チームとサッカークラブに入ってたけど、今は特に何もしてない」

 なんでもない事のようにそう答えてたけど。翔梧は、何でも出来るのに何も求めていないように見えた。何でも手に入れる力があるけど、本当に欲しいものが無い。そんな風に感じられた。
 
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