【完】甘いカラダ苦いココロ

「河村 翔梧。知ってますよね?」 

 ビルの地下にある、昔ながらの喫茶店に移動してすぐ話しを切り出される。
 目の前の女の子はよくみるととても顔立ちが整った美少女だった。大きな目にカラスの羽根のように濡れた睫毛。形のいい小さな鼻にぽってりとしたベビーピンクの唇。まだ幼さを残した形よく尖った顎。私の憧れの卵形の顔。マスカラにアイライン。化粧してるんだろうけど、そんな必要がないくらい陶器のような艶のある肌に若さを感じる。

 彼女の眼力の前で、私はまるきり蛇に睨まれた蛙のようだった。

「私、翔梧と同級生で柴田 春菜(しばた はるな)っていいます」


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