【完】甘いカラダ苦いココロ

「沙耶って何考えてるかよくわかんないよな」

 どこかで聞いた気がするセリフが、鈍く胸を突いた。
 
「……他にも何か聞いた?」

 どこまで正直に言っていいのかわからず、少しためらってから答える。

「翔梧の彼女だって言ってた」

「……他には?」

 否定も肯定もしない。寸分も変わらない顔色になんだか私が責められてるような気がしてくる。

「……翔梧が年上キラーだって」

 ぶっと吹き出す翔梧。

「なんだそれ」
 
「少しニュアンスは違ったけど。とにかく翔梧はもてるから……」

『すぐ飽きられて捨てられるだけなんだから、早く翔梧の前から消えてくださいね』

 彼女の言葉をはっきりと思い出して、口ごもる。


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