【完】甘いカラダ苦いココロ
翔梧の質問には、あえて答えず話を切り出す。
「私も、翔梧に嘘ついてるの」
ーー言うなら今だよね。翔梧の目が少し見開いて身を起こした。
「何?」
「私本当は、二十四なの。今年で五になる」
一気に捲し立てるように言い切る。ココロが軽くなった気がした。
「へ……」
大きな目が私を見返す。
「私、七つくらい年上なんだよ……引いた?」
私の告白に、翔梧は大きく何度か瞬きしただけで、すぐに微笑んで見せた。シーツのかかった立ち膝に頭を傾けて目尻を少し下げて笑う。あの、キラースマイル。
「全然」
相当場馴れしてるんだ……。その堂々とした余裕な態度に惚れ惚れするほど。そして何事もなかったように、翔梧が近づく。いつものようにあたたかな大きな手のひらが私の頬を優しく包みこむ。私は目を閉じた。その厚い唇が私の唇を奪う前に。