【完】甘いカラダ苦いココロ
数日後、その罰が下る。
「は!?」
「だから、もう沙耶って人と会って欲しくなくて……」
とくに予定もなくて、春菜と一緒に帰ったある日。なんだか少し様子がおかしいから軽く問い詰めたらすぐ吐いた。もともと春菜は嘘が下手だ。
――やってくれたな……。
ただ内容が洒落にならない。
「なんで勝手に沙耶の店までいってんだよ」
「だって……」
「しかも歳もばらしたって。……勝手なことすんな春菜」
自分の声が低く響く。その迫力がどんなものかわかってるつもりだった。春菜の顔はうつ向いて見えないけど、その大きな目には涙が溜まってるだろう。
勝手なのはわかってる……。でも許せなかった。沙耶を失うかもしれない……。無意識にそれを恐れる気持ちから沸き上がる身勝手な怒り。
「悪いけど、今日は一人で帰って」
「翔梧!!」
大粒の涙をこぼしながら俺の名前を叫ぶ可憐な姿も、
今の俺のココロには届かない。俺はすぐに沙耶に次に会う約束を取り付ける為のメールを作っていた。