【完】甘いカラダ苦いココロ

 当たり障り無い話をしているうちに一次会はお開きになった。やっと解放されることにほっと一息ついて、佑香に近づく。

「私、帰るから」

「えっ。待って〜。今日の合コンは沙耶の為だったのに!」

「え?」

「沙耶、何か最近元気なかったからさぁ。新たな出会いでも……と思って」

 余計なお世話だったかな。と佑香は謝ってくれたけど、私はその気持ちがすごく嬉しかった。気持ちだけで十分だったのに。苦笑いしながら、やっぱり帰ることにすると告げた。佑香は残念そうだったけど、合コンに参加するには私の気持ちは中途半端過ぎる。

 二次会の話で盛り上がってる輪をそっと抜けて駅へと向かう。時計を見ると十時をちょうど過ぎたところだった。

「沙耶ちゃん!」


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