【完】甘いカラダ苦いココロ
とりあえずドリンクチケットを持ってバーラウンジを探すとすぐ見つけることはできた。ただ、すごい人だかり。金曜の夜はみんな生き生きして迫力がある。夜遊びらしい遊びを久しくしてなかった私は人混みを見るだけで目眩がした。
なんとか気持ちを奮い起たし、人を掻き分けてメニュー表を探す。ドリンクの種類が豊富なのは嬉しくない誤算だった。人に押され踏みつけられながら目移りする中一種類を選び出し、注文するのは簡単な事じゃない。
「あ、あの……」
なんとか選んだカクテルを貰おうとチケットをカウンターに出しながら必死で声をかけた。が、なぜか次々と私の声にかぶせて注文が横から、後ろから飛んでくる。
「あの、コットン……あっ」
しまいには私のチケットが下に落ちる始末。
……最悪。もう諦めよう。