【完】甘いカラダ苦いココロ
『金曜日は職場の友達と飲みに行く予定』
数日前、金曜の夜の予定を聞いたとき確かに沙耶はそう言った。その夜、とくにすることも無かった俺は、気まぐれにクラブに顔を出した。その日のクラブイベントはミュージックと映像をコラボしたファッションショー。ゲストはモデルのRINA。
「ショーゴっ!」
出番が終わってすぐ、目が合うと駆け寄って首に腕を回してキスしてくる。RINAは半分のイタリアの血のせいか、かなり陽気で大胆だ。
「ショーゴ久しぶり! 全然連絡くれないんだもん」
「あぁ、まぁ色々忙しくて」
曖昧に微笑んで、辺りを見回す。
「マネージャーは?」
「多分、裏で挨拶回りじゃないかな?」
「RINAは行かなくていいのか?」
「いーの。もう出番終わったし。捕まったらショーゴまたしつこく口説かれるよ?」
確かに、RINAのマネージャーの設楽(シタラ)さんは俺を同じ事務所に入れたいらしく、いつも名刺片手に話をしたがった。
上目遣いで俺のカラダに手を回すRINA。
「ねぇ、ショーゴ。つまんないし、抜け出そう?」