【完】甘いカラダ苦いココロ
誰かの帰りを待つのは嫌いだ。幼い頃の記憶がよみがえる。期待は必ず裏切られ、待ち人は来ず、最後には孤独を感じるだけ。だからもう、誰も待たないし、誰にも期待しない。寄ってくるものをただその場だけで受け流す。欲しがらなければ裏切られることはないから。
これまで、ずっとそうしてきたんだ。それでうまくいっていた。
――これまでは……。
数分数十分と時間が経つにつれどす黒い気持ちが渦巻きだす。沙耶とあの男が一緒にいる考えるだけで腸が煮えくり返る。