【完】甘いカラダ苦いココロ
ずっと避けて通っていた感情。孤独と惨めさと寂しさ。
その感情を前にしてココロが過敏になり攻撃的になる。
ドアにもたれ、闇を見つめる。今、まさに男と帰って来るかもしれない……。俺ではない男と。だからまず、沙耶が帰ってきたとき、一人でいることに安堵した。
「翔梧……」
そして、驚き明らかに戸惑っている沙耶に苛立ちを感じた。初めて向けられるその表情に、胸を引きちぎられるような、激しい苛立ち。
オレガキテ、ウレシクナインダナ?
「急に来るから、びっくりした……」
――確かに。
なんの連絡もせず、突然来たのも待ち伏せたのも初めてだった。他の女にもしたことがない。俺自身、正直戸惑っていた。