夕陽の向う
2-6

病院で、地域医療やホスピスについて紹介された。

大学病院は、治療と研究をするのが目的だから、もう治療の手が無くなった時は、地域の医療機関に戻す。

まだ入院中に、友人が、ホスピスの情報を集めてきてくれた。

申し込んですぐに入れるわけではないから、早めに調べて、何箇所かに申し込みをしておいたほうが良いという。

家の近所の診療所に訪問看護の制度が有ることも判った。


2週間余りの入院の後退院した。


ホスピスに、睦子と一緒に見学に行ったり話を伺いに行ったりして、家から一番近い場所、一つだけに申し込みした。

そんなに込んでいるという感じでもなかったし、自分も今すぐに入ることもなさそうだし、できれば、睦子が通いやすい所にしたかったから。


余命の宣告を受けてから、1か月後に、もう一度、大学病院に診察を受けに行った。

前回と同じで、

余命は3か月から6か月、長くて1~2年

と言われた。

元はちょっと考えて聞いた。

「それは、いつからですか?」

先生が答える。

「今日からですよ。」

アレっと元は思う。

1か月前にも同じことを言われたんだから、

『つまり、今日の時点で余命が1カ月のびたってことじゃん。』
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