夕陽の向う
4-9

『元は『ゆっくり』と言った。』

気が付くと同時に、睦子は確信した。

『元は、
あの時、ゆっくりしゃべれと言ったんじゃない。

ちゃんと待っているから、
ゆっくり来ていいよと言ってくれたのだ。』

睦子の眼に涙があふれる。


『元。ありがとう。
そうね。
悪いけど、あなたの優しさに甘えて、私はここの人生をゆっくり楽しんでから行くわ。
ちゃんと、ちゃんと待っていてくれるよね。』

涙でにじんで、全体的にオレンジ色になった視界の中で、
夕陽が、一瞬、輝きを増した。

睦子の顔に、微笑みが広がる。

『・・・元が、笑っている・・・』


   <<おわり>>



この作品の原作は、私の友人のブログで、

「がんと共に死ぬまで生きる浜ちゃんより」

というタイトルです。

発病してからのことが、丁寧に、真摯に書かれています。

感動することも、勇気をもらえることも、たくさん有ると思います。

興味ある人は、是非、検索して、読んでみてください。

   <作者:浜野木綿(はまのゆう)>
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