夕陽の向う
1-6
「元がね・・・。」
睦子は翌日、友達に電話をかけた。
こんなこと、自分ひとりの胸にしまっておくなんて出来やしない。
自分ひとりの胸では、すぐに破裂して飛び散ってしまう。
それから、その他にも、たくさんの友人に電話してしまった。
元の仲のいい、昔からの友人の奥さんは、結婚してからもいろいろなことを相談し、楽しみを分け合ってきた。
今回の最初にガンの診断を受けてからも、病院のこととかいろいろと相談に乗ってくれている。
優しく冷静に、
「
大丈夫。落ち着いて最善を尽くすしかないよ。まだ希望もゼロじゃないし。」
と言ってくれる。
最近夫を事故で亡くしている友達は、電話を受けるなり自宅に飛んできてくれて、手を取り合って泣いた。
一緒に泣いてくれる人がいるだけでも、自分が少し冷静になれる。
そして思うのは元の気持ちだ。
今、どんな気持ちなんだろうか。
とても平静に、過ごそうとしているのが判る。
でも平静なんかでいられるはずないのに・・・。
『元、大丈夫だよね。無理して頑張ったりしないでね。』
思うのだけど、口にはっきり出すのが難しい。
そのことが、元の心を傷つけそうで。
「生きることって、命って何だろう。
こんなに難しいことだったっけ?」
「元がね・・・。」
睦子は翌日、友達に電話をかけた。
こんなこと、自分ひとりの胸にしまっておくなんて出来やしない。
自分ひとりの胸では、すぐに破裂して飛び散ってしまう。
それから、その他にも、たくさんの友人に電話してしまった。
元の仲のいい、昔からの友人の奥さんは、結婚してからもいろいろなことを相談し、楽しみを分け合ってきた。
今回の最初にガンの診断を受けてからも、病院のこととかいろいろと相談に乗ってくれている。
優しく冷静に、
「
大丈夫。落ち着いて最善を尽くすしかないよ。まだ希望もゼロじゃないし。」
と言ってくれる。
最近夫を事故で亡くしている友達は、電話を受けるなり自宅に飛んできてくれて、手を取り合って泣いた。
一緒に泣いてくれる人がいるだけでも、自分が少し冷静になれる。
そして思うのは元の気持ちだ。
今、どんな気持ちなんだろうか。
とても平静に、過ごそうとしているのが判る。
でも平静なんかでいられるはずないのに・・・。
『元、大丈夫だよね。無理して頑張ったりしないでね。』
思うのだけど、口にはっきり出すのが難しい。
そのことが、元の心を傷つけそうで。
「生きることって、命って何だろう。
こんなに難しいことだったっけ?」