忠臣蔵外伝 〜元禄恋物語〜
その壱
母の存在、父の存在
「なぁ、お艷」
「んー?」
「雪が降って来そうだなぁ」
「そーう?」
「お艷‥‥。お前のおっ母さんは雪のような人だった。純粋で真っ直ぐで、雪のような、何のくもりもない人だった‥‥。
お前はおっ母さんにそっくりなところがたくさんあるんだぞ」
「ほんとうに?」
「あぁ、本当だよ。お前はおっ母さんのことは覚えてねぇよなぁ。お艶はおっ母さんの生き写しみたいなんだぞ。お艶は覚えてねぇのか‥‥‥」