REAL HOPE Ⅰ



目の前にはアップのレツ


いつの間にか寝ていたらしい私はフローリングに寝そべっていて



「…レツどうしたの?」



目の前で真剣な顔をしているレツが気になった。


「どうしたのじゃねぇだろ、」



レツは少しだけ悲しそうにに眉をゆがますと

私の片手を取って、



「泣いてんじゃねぇよ。」



「……ぇ」



そう言ってぎゅっと私を抱き締めた。



泣いてる?


私が…?



抱き締められたレツの肩越しのグレーのスウェットが私の涙でぽたぽたと水玉を作っている



何で私泣いてるの


別に悲しくなんてないのに、どうして泣いてるの?


どうして止まらないの?


さっきの義理母の顔を思い出す


冷めたように、ゴミを見るかのようなあの瞳





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