REAL HOPE Ⅰ



苦いような渋いような香りが部屋中に染み込むように充満する。



「あの馬鹿女、今日ジュンの学校来てた。」



アズサさんがそれだけ言うと、今まで一切こっちを見なかったレツがバッと私に視線を向けて、私へと一歩づつ近付いてくる



アズサさんの言葉だけで何かを理解したらしいレツ




そっと私の頬に触れた手が冷たくて、ピクッと私の肩がゆれた



「少し赤けぇな。」


「……え?」


どうやらさっき馬鹿女にビンタされた所がまだ赤いらしい






「痛てぇか?」




そのレツの声が何だか少し悲しそう






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