〜♪
授業開始のチャイムが教室に鳴り響く。

ガタガタと生徒が席についた頃、担任が教室のドアを開け教壇に立ち、クラス会長に号令を促す。

「きりーつ。」
気だるそうなクラス会長の号令を合図に皆が一斉に席を立ち一礼し、また席に座る。
それを、席から動く事なく風景を見るように眺めてた俺を先生が睨む。

「佐藤号令がかかったらちゃんと席を立て」

俺は苦笑しながらすんません、ボーっとしてましたと言い反省した態度をみせた。

まったく、と大袈裟に呆れたそぶりをして、今日の予定を話しはじめた。

新学期開始から間もないがその会話はもう5度目だった。先生の話を蔑ろにし、窓の外を見やる。
 この教室から丁度校門が見え、1人の生徒がスカートをはためかせながら必死で走っている。
 今更走ってももう遅刻なのにな・・・そんな事を思いながら眺めているとふと、彼女が顔をあげたから目が合った。
 彼女はにっこりと微笑みまたはしった。
 彼女の微笑みを見た途端イライラがこみあげる。作り笑いなんか浮かべやがって。この行き場の無いいらだちを堪え拳を固く握る。朝から嫌なもん見てしまったとでも言うように、彼、佐藤 雄哉はふいと窓から目を逸らした。
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