君と出会えて
「わりぃわりぃ。
意外と電話が長引いちまって」



そう俺がいうと、龍が小指を立てながらニヤついていた



「ばっばか、ちげーよ
ただの友達」


その言葉を発した途端、俺は急に虚しくなったんだ



ただの友達…

ほんとは俺の彼女だって言いたい

俺の一番大切なやつだって言いたい



けど…決してそんなことは言えないんだ

一番大切なやつっていうのは、本当かもしれない…



だが、彼女だって言うのは嘘


俺の言った通り、未来からしてみれば俺は本当にただの友達だろう


いっそのこと告白してしまおうか

そんなことはいくらでも考えた


けど、チャンスはいくらでもあったのに俺は臆病者だから、振られるのが怖くて



結局はいつも言えない



近づきもせず離れもしないこのもどかしい距離は、日に日に俺を苦しめていったんだ




「おーい、隼人?」

「……っ、わりいわりい

よーし、そろそろ帰るか」



「だな!あっでも龍は金がないから、帰れないなー」


「はっ?さっき隼人が秀平と割り勘で払うって言ってたろ」


そんな2人の会話を聞いていると、自然と笑みが零れた


「俺…そんなこといったっけ?」


「おいーそれはないだろ」

「ハハッ冗談だよ

じゃあマジで帰るか」


そういうと俺らはさっさと会計を済ませ、わりいな…と誤り続けている龍をからかいながら帰って行った
< 15 / 22 >

この作品をシェア

pagetop