メイド服に身を包み。



廃人。

その言葉が今の私にはぴったり。


ここ数日、生きている実感がわかない。

食べることも寝ることも、
体が拒絶していた。

それでも美和だけには死んでほしくないという一身で家事だけは続けている。


今もスーパーに夕ご飯の材料を買いにいった帰り。


目から流れてしまう水分を何とかこらえながら、帰路についていた。


ふと、目に留まった大きすぎる豪邸。


ここ、日本有数の資産家の橋立さんの家だ・・・。


いいな・・・。

ここに住んでいる人はこんな苦しい思いをしなくていいんだもの。




私も、こんな家に生まれていたら。


お母さんは死んでなかったかもしれない。




そう思うと我慢していたものがくずれるように流れた。





しばらくその場にうずくまっていた。


やだっ!!
もうこんな時間!?


美和が待っているんだった。


早く帰らなきゃ!!


そう思った瞬間


「そこの人!!」


と、声をかけられた。



< 2 / 15 >

この作品をシェア

pagetop