メイド服に身を包み。
おばさんは話を続ける。
「それだけじゃないよ。駅前の『c・bホテル』だって北御門のもの。
気付いていないだけであんたの周りは北御門だらけだよ。
ここはそんな北御門の本邸。たくさんの使用人がいる。
だけどね~」
「どこか不都合でもあるんですか?」
「ここには北御門の一族がたくさん住んでいるから。
色々難しくてね。
そのせいで毎年使用人がどんどんやめていくんだ」
いろいろ難しい……。
まあ、これだけ広いお屋敷の中だから人間関係のドロドロとかたくさんありそう。
「大変そうですね」
「いや、大変な性格の持ち主は、この家では一人しかいないから大丈夫」
一人しかいない?
どういうことだろう?
するとおばさんが、しまった!という顔をした。