中途半端なオトコマエ!
(どうしたんだ。あの子)

働き始めてすぐ、オレは一つのことに気付いた。

同じアルバイトの山本美沙(やまもとみさ)。

彼女は、初めて会った時、はっとしたように、オレを見つめた。

商品を陳列しているとき、気付くと、オレをじっと見ている。

レジ打ちが終わって顔を上げると、オレをじっと見ている。


悪い気はしない。というより、もちろん嬉しい。

歌手にとって注目されるのは、本能的に嬉しいのだ。


弁当を棚に並べながら、奥に貼ってある鏡に、自分の顔を映してみた。

(うーん、オトコマエ!)

山本美沙がオレを見つめるのも、当然だ。

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