中途半端なオトコマエ!
母親たちは、何かをささやき始める。

聞こえはしないが、だいたいこんなことを言っていると想像(妄想)する。

「ねえ、あの子、かわいくない?」
「けっこう、歌、うまいわよね」
「イケメンじゃん」
「お茶してみたい……」
「うちのダンナより、若くてイイオトコだわよ」
「きっと、すごく、イイわよ」「何が?」「うふふ」

母親たちが、うっとりした表情を見せた。

(営業は成功だ)……なんて考えている自分に気づき、ため息をついた。

あのキャバレー回り時代と同じだ。

お客の機嫌を取り、自分を切り売りする。媚びを売る。あのころと。
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