中途半端なオトコマエ!
「志研の……オレの歌、聴いたことがあるの?」

「うん、予備校で」

「センター試験の前日に?」

「そう」

ああ、とうなずいた。

あの、予備校でのライブを、美沙は聴いていたのだ。

「あの時、浪人してて、苦しかったから……『サクラサク』はいい歌だなあって、感動した」

「へえ」

「CD、買えばよかった。受験の費用とかが大変で、お金がなかったから、買わなかったの。買わなかったから、落ちたかな」

「いや、あのCDにはそんな効き目はないよ」

「やっぱ……あたしの努力不足か……」

「うまくいかなかった? 受験」

「うん」

どういえばいいのだろう……言葉が上手く出ない。


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