中途半端なオトコマエ!
美沙がすすりなく様子をみて、そのままにできる男がいるだろうか。

オレはギターを置いた。

近寄って、美沙を抱いた。

抱きしめた。

「自分で考えた道を、自信をもって進めよ」

じっと、抱きしめて、

「いつでも、聴きにきて。いつでも」

「うん」

ここだ、オトコマエ、行け!オトコマエ

オレの頭の中で大音量の声が響いた。

けれど……。

行動には移せなかった。

断っておくが、オレは意外と経験豊富だ。

だってオトコマエだもん。

でも、今回、美沙に対しては、駄目だった。

ダメだった……。


「ありがと」

美沙は、オレの腕をすり抜け、礼を言いながら帰って行った。

それっきり会えなくなった。


美沙はバイトを辞めたそうだ。


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