中途半端なオトコマエ!
5、ルミ
生きるの生きていないのだの、あんた、すこし大げさなんだよ!というおしかりは甘んじて受けよう。

人間ってのは(また大げさだなあ)意外と強いもんなんだ。

オレも、地球に彗星がぶつかったくらいの大ショックを受けたものの、一週間たって、だんだんと立ち直ってきた。

バイトの帰り。

「とおるちゃん?」

髪の長い、派手目の化粧をした女が声を掛けてきた。

すぐに分かった。

高級クラブのホステスのルミだった。

キャバレー巡りをしていた頃出会ったオンナだった。

三ヶ月くらいつきあった。

甘酸っぱい思い出がよみがえる。

年下のオレを、まるで愛玩動物のようにかわいがって、
「とおるちゃん、とおるちゃん」と、よく体を撫でてくれた……。

店に出る前にオレの部屋に来ることもあったし、オレがルミの部屋に行くこともあった。

三日間連続で、ルミの部屋に泊まり込んだこともあった。

オレは今より若かったから、ふらふらになるまで……いや、それはさておき。
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