中途半端なオトコマエ!
「違うだろ。『志研あらため派遣とおる』だ。
『志研あらため派遣』が名字で、『とおる』が名前」
しばらく沈黙した後、オレは、精一杯の皮肉を込めて言った。
「そのうち、『選挙カーとおる』とか、『地球温暖化とおる』とかになるのか?」
「ほう。『選挙カーとおる』は、使えるな。『地球温暖化』は……『とおる』じゃなくて『とめる』、だろう? ハハハハハ……」
社長の大きな笑い声が、事務所の合板の壁板に響いた。
世の中では確かに「派遣切り」が問題になっていた。だから?
何でもかんでも、話題を呼べばいい、という考えが見え見えだ。
いくら温厚なオレでも、限度というものがある。
「いいかげんにしろ!ひとの人生を何だと思っている!」
と叫んで、社長の脂ぎった顔をにらみつけた。
「いや、キミのためには、これが……」
まだ半分笑いながら社長は言った。
「うるさい! キミのため、キミのためって、本当は、誰のためだ? お前のためだろう」
「何をいうんだ、私は……」
「もういい。もういい。やめさせてもらう。こんな事務所なんか」
『志研あらため派遣』が名字で、『とおる』が名前」
しばらく沈黙した後、オレは、精一杯の皮肉を込めて言った。
「そのうち、『選挙カーとおる』とか、『地球温暖化とおる』とかになるのか?」
「ほう。『選挙カーとおる』は、使えるな。『地球温暖化』は……『とおる』じゃなくて『とめる』、だろう? ハハハハハ……」
社長の大きな笑い声が、事務所の合板の壁板に響いた。
世の中では確かに「派遣切り」が問題になっていた。だから?
何でもかんでも、話題を呼べばいい、という考えが見え見えだ。
いくら温厚なオレでも、限度というものがある。
「いいかげんにしろ!ひとの人生を何だと思っている!」
と叫んで、社長の脂ぎった顔をにらみつけた。
「いや、キミのためには、これが……」
まだ半分笑いながら社長は言った。
「うるさい! キミのため、キミのためって、本当は、誰のためだ? お前のためだろう」
「何をいうんだ、私は……」
「もういい。もういい。やめさせてもらう。こんな事務所なんか」