中途半端なオトコマエ!
周に1回の休みの日。

相変わらず暑い。昼のニュースでは今年一番の暑さとか言っていた。

今日は朝から、思い切り作曲に取り組もうと思っていた。

が、何の収穫もなく午後の3時を回ってしまった。

半ばあきらめて麦茶を飲んでいるとき、玄関のチャイムが鳴った。

美沙だった。

喜んで(ただし、そんなそぶりは見せずに)招き入れた。

「ごめんね、突然辞めて。何か、照れくさかったの」

美沙は、クッションに座りながら笑顔を見せた。

「大学をもう一回受けるって?」

「うん、これが最後。もう一回だけ」

「大丈夫だよ。必ず受かる。大丈夫!」

「だといいけど。志研さんもがんばってるし……あたしもがんばる……」

オレの胸の中がちくりと痛んだ。

「オレは、うーん。ちょっとへこんでるんだ」

「どうして?」

「実はさあ……」


正社員になるように勧められた話をした。


「もう、歌手の夢なんてあきらめるべきなのかな……なんて」

美沙は寂しげにほほえんだ。


それを見て、おれの何かが、はじけ飛んだ。

夢は所詮、夢だ。しかし!

眼の前にいる美沙は、夢じゃない。


美沙の。

清らかな。

肉体。

オレが最初の男ではいけないか?


オレの「よからぬ欲望」がむくむくと頭をもたげた。

美沙だって、オレが嫌いなら、ここまでは来ない。

「美沙……」

美沙のなめらかな唇に触れたい……





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