中途半端なオトコマエ!
「あらあ? 彼女?」

「いや、違うよ」

「違うんです。あたしは、バイトが一緒で……」

美沙は慌てて顔の前で手を振った。

「いいのよ、隠さなくても。とおるちゃん、こんなウブい娘を、どうひっかけたのよ」

「だから、バイトが……」

オレの話をさえぎって、ルミは、美沙に話しかけた。

「だめよ、あんた、とおるちゃんとつきあっちゃ、だめよ。
他の男じゃ満足できなくなるわよ。だって、とおるちゃんったら、すごいテクニックで……」

「うわあー」

オレは、叫んだ。

よりによって美沙に、何を言うんだ。

「やめろよ」

ルミを追い出そうとしが、ルミは、ヤワな女じゃない。

「なにすんのよ。ばか! あんたが出てけ!」

オレをけっ飛ばし、逆に部屋から押し出そうとした。

いかん、退却だ。

オレは、部屋を飛び出した。

スニーカーを半分つっかけた状態で部屋から駆け出た勢い余って、アパートの廊下をよろよろと倒れながら歩くことになった。

体勢を立て直せずにバランスを崩し、あろうことか、階段から転落した。

言い遅れたが、オレの部屋はアパートのコンクリートの階段のすぐそばなのだ。


もんどりをうつ……ってのは、このことだ。





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