中途半端なオトコマエ!
ルミが言う。

「でも、あんた、なんで、逃げ出したの」

「なんでって……」

そうだ。なぜ逃げたりしたんだっけ?

「自分がないからよ」

「……」

返す言葉がない。さっきの美沙との会話をきいていたかのようなルミの言葉だ。

「あんた、ホントにだめ男。中途半端なだめ男ね」

「……」

「そんなところが、カワイイんだけどね」

「……」

「まったく、もう、しっかりしなさいよ!」

「しっかりしてるつもりだけど」

「ふらふらしてる。あたしにはそう見える。昔からそうだったけど」


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