中途半端なオトコマエ!
去年の秋、商店街のイベントに呼ばれた時、楽屋として使わせてくれたのが「果林堂」だった。

しっかりした女の子がいたが、あの子の父親が、確か、こんないかつい顔をしていた。

そうか。

あの店か。

オレは、ほっと息をついた。

個人の店の商品が、コンビニ・チェーンの企画で商品化されたんだろう。

それだけ売れると見込まれたってことだ。

よかったな。あの子も喜んでいるだろう。

「か・か・かりんどう

 あかるいひかり・かりんどう」

オレは、思わず口ずさんだ。


「なんだい? その歌」

後ろを通りかかった店長が不思議そうにたずねた。



< 60 / 70 >

この作品をシェア

pagetop