中途半端なオトコマエ!
オレは、暗い気持ちで電車に揺られ、駅からとぼとぼ歩いてアパートに戻った。

昼時だけど、食欲はない。

あれこれ考えてみても、考えがまとまらない。

預金残金もない。

「ない」「ない」……

ルルルルル……

専務から電話だった。

専務と言えば聞こえは良いが、経理もスケジュール管理も、事務所の実務を一手に引き受けている「なんでも屋」だ。

「辞めたって、本当か?」

本当か、嘘かと言われれば……

「本当です……」と言わざるを得ない。

「お前のプロモーションに、どれだけかかったか分かっている?」

穏やかな口調だが……トゲがあった。


< 8 / 70 >

この作品をシェア

pagetop