中途半端なオトコマエ!
「……」
「お前の歌、ヒットしなかったなあ?」
「はい……」
「それでもお前のために、新曲を用意したんだけど」
「すみません……」
「なのに、蹴ったって?」
「すみません……」
「もういい。喧嘩はいやだから、円満に辞めたということにしよう」
「あ、あの……」
もういちどやります、と言おうとした。しかし、
「5月分の給料は振り込むけど、いろいろと経費を差し引くから、あまり期待するな」
「え、本当ですか」
「こっちが払って欲しいくらいだ。じゃ、な」
ブチッ。電話は切れた。一度も引き留めなかった。