短編集
ようやく割れたグラスのかけらを集め終えたあたしは、
失礼します。と一声かけてその場を立ち去った



カウンターへもどるとお客さんは帰ったらしく、あかりが領収書などの整理をしていた



「あの男の人たち…よくしゃべるね


あたしも手伝おうかと思ったけど、なんか…ね」


そう笑いながら話すあかりを見て、あたしは苦笑いを零した



カランカラン


例の彼らが帰ったようだった


カウンターの前を通るとき、あたしは涼と呼ばれるほうが


『またね』


そういったような気がしたんだ



気がつけば時計は夜の9時を指していた


(やっと終わったー)


「お疲れ様です

あとはよろしくねー」

そうあかりに告げると、タイムカードを通して店の外へ出た



店の外は、夏にも関わらず曇りのせいか少し薄暗かった



誰かの視線を感じたあたしはさっと横を見た



すると…そこには例の彼らがいた

あたしを、待っていたのかな?

そんなわけないよねっ!



そう自分に言い聞かせて、彼等の前を通りすぎようとした



そのとき…



「えっ無視?

俺ら待ってたのによー」


えっ?

「あたしを…ですか?」


「おう!
ちょっとはなさね?」


あたし…なんかしたかな?

なぜかあたしは少しだけ恐怖を感じた



でも、そんな心配は無用であたしと彼等はただたんに普通の友達のような会話を楽しんだ



彼等というか…友達の方とは



涼と呼ばれる男の人は相変わらずあまり会話には入らず、ずっと携帯をいじっていた



話してみてわかったこと

彼等は高校3年生でこの辺の公立高校に通っているということ



そして涼と呼ばれる人の友達の名前は哲弥だということ



そして、彼ら?はとても面白くていい人だということ



あたしは、相手が年上だということも忘れておしゃべりを楽しんでいた

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