短編集
なぜ哲也がびっくりしていたかって?



なぜなら、あたしは目からぼろぼろと涙が溢れていたからだ


何の涙かなんてわからない…

嬉し涙なのか…
悲し涙なのか…



ただ一つ言えることは、今頭の中は涼に会いたいということだけで、
いっぱいだということだ


「よかっ……た

女の子…を助け……っようとした……なんて…格好悪っ…くなんて……な…い


格好い……いよ」


そう…涼はかっこいいよ…



あたし、はじめて恋で頑張ろうと思ったかも


あたしはいつも好きな人が出来ても自分からは何もしない



だから、いつも疲れて諦めてしまう


いつもはそれで平気だったけどこの恋は…絶対に諦めたくない



このときあたしは、涼が退院した日に告白しよう


そう心に決めた



「あぁもう、みなみちゃん泣きすぎ

そんな顔してたら、涼に嫌われるよ(笑)」



「や゛だ……」


ポンポン

そう、哲也はあたしの頭を撫でてくれた



柄にもないことをするんだなあ…

そんなことを思うと、自然と笑みが零れて来た



「やっと笑った…

んじゃ、俺…帰るは」



御礼を言わなきゃ

「哲也くんっ!わざわざありがと」


あたしは人の目なんか気にせずに、そう叫んだ


ヒラヒラと手を振って、哲也は帰って行った
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