Beautiful Summer Day's


 でも財力もない只の女子高校生が家出なんて出来るわけがなかった。通帳を持ち逃げしたって暗証番号しらないし。ていうか泥棒になっちゃう。


 そうしたら、ゆかが助けてくれた。


 ゆかは別に大金持ちのお嬢様、とか大富豪の令嬢、とかそんなんじゃないけど、知り合いがたくさん居た。社交的なゆかはその知り合いに頼んで、あたしの家出先を探してくれた。

 衣食住を賄ってくれるなんて、最初はすごく驚いた。

 でもさっさとこんな家から出たかったから、なりふり構ってられなかった。だからすぐに決めた。親がいない間に荷物まとめて。

 夏休みだけの、短い家出。

「ゆか、あたし、今すごく幸せ」
『それは良かったわ』
「ねえ、どうしてここまでしてくれるの?」
『親友だからよ』
「親友なの?」
『あら、遺憾だわ。ゆかは私のこと、なんだと思っていたの』
「……あたしと正反対のあたし」
『ふぅん、まあ、それでもいいわ』

 表裏一体。
 そんな言葉がぴったりだ。


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