ユータナジー
そこまで面倒な事をするような人間じゃない。
「先輩。」
「ん。」
彼女は表情が少し曇って、それを隠すみたいに笑顔が見える。
「もうすぐ卒業ですね。」
嬉しいのか哀しいのか、どちらとも感じる声。
「まぁ、三年だから。」
「もう秋も終わりますしね。」
「誰だって卒業するだろうな。」
「入学あれば卒業ありですよ。」
「あれか、始まりあれば終わりありみたいなやつか?」
微妙に話の重点がズレていく。
これが俺等の話し方。
「県外の学校受けるんですか?」
その声には、感情がこもってない。