ユータナジー
私は彼女の名前を知らないのに、彼女は私は紹介してもないのに知ってる事が。
「おはようございます。」
私は返して、先輩の横に隠れるように立つ。
「私、三枝沙南(サエグササナ)って言うの。よろしくね。」
…嫌いなタイプだな。
そう感じた。
あくまで私にとって。
私は何も言わず、微笑み返した。
校門へ行くまで、三枝さんは先輩へ話しかけていた。
先輩は生返事ばかりしていて、私はそれをずっと聞いていた。
「あ、琥珀ちゃんは二年生だもんね?」
靴箱の位置が、三年と場所が違う事さえ、口にしてきた。